河川水中の有機物濃度は水量の少ない冬期に高くなる傾向がある一方、大腸菌群や糞便性大腸菌群、大腸菌など、糞便汚染の指標となる細菌数は水量も多く、水温の高い夏期に多くなる傾向がある。そこで、これらの細菌が夏期に環境中で増殖しているのではないかと考え、模擬排水、河川水、浄化槽処理水及びみなし浄化槽の処理水を用い、25°Cと10°Cで1~2日間振盪培養し、増殖の有無を検討した。 大腸菌の純粋株や河川水のような低濃度有機物中に存在していた大腸菌は、培地のような資化されやすい有機物中では BOD10mg/Lの低濃度でも25°Cでは増殖したが、同程度以上の有機物濃度であっても、微生物を多く含む浄化槽の処理水や生活雑排水を添加しても増殖せず、現段階では環境中での増殖の可能性を確認するまでには至っていない。