電子タグやケータイで位置やIDを取得できることが容易になり,場所をめぐるユビキタスサービスが盛んに研究されている.場所のサービスには技術からと人からの二つのアプローチがある.本論文では人の視点に立って情報技術を活用する場所メディアについて解説する.まず,人と場所のかかわりに関する地理学や建築学の知見をもとに,場所メディアを眺望,車窓,周遊の三つのタイプに分類する.更に,この三つのタイプについて,場所にかかわる人の感覚を情報技術を使って拡張した場所メディアの事例を紹介し,最後に場所の未来を考える.