抄録
本論文では,乱数を用いた確率的シミュレーション法であるモンテカルロ(Monte Carlo,MC)シミュレーション法について述べる.MC法による確率推定の基礎的な事柄について述べ,得られる推定値の精度評価とその問題点について議論する.また,一様乱数によるいろいろな乱数の作り方と,その作り方による乱数の限界について注意する.次に,ネットワーク特性評価の基本である待ち行列に関するMCシミュレーションのいくつかの方法を示し,乱数の観点からそれらを考察し得られる推定値の問題点を指摘する.最後に,これまでに指摘した問題を解決する一つの方法として,インポータンスサンプリング(Importance Sampling,IS)シミュレーション法を紹介する.IS法では,上に述べた乱数の限界が克服されることを示す.