電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン
Online ISSN : 2186-0661
ISSN-L : 1881-9567
解説論文
技術的観点からのネットいじめ対策
三島 浩路本庄 勝
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2015 年 9 巻 2 号 p. 102-109

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抄録
本稿では,ネットいじめ対策に関する技術的なアプローチを紹介する.ネットいじめは,攻撃手法の視点から,言語的な攻撃である表出性攻撃と人間関係を操作して攻撃する関係性攻撃とに二分される.前半では,高校生約1,500人を対象に行った調査結果を基に,関係性攻撃の手法である,反応遅延・拒否の程度が,携帯電話でのトラブルにより受けた心理的なダメージの大きさに影響を与え,かつ被害者と加害者との人間関係の親密性の高さも同様に影響を与えることを示す.後半では,その関係性攻撃を対象とした対策ツールであるネットいじめ防止ツールの概要を中心に紹介する.本ツールは,ネット上から抽出された二つのソーシャルグラフ (Contact Network, Activity Network) から,ネットいじめの発生や予兆を表す構造的な特徴を検出することで,ネットいじめの対応に携わる教師らを支援することを目的としたツールである.本稿では,具体的な事例とともに本ツールの有用性を紹介したい.また昨今のインターネット利用者の低年齢化や,メッセンジャ型のアプリケーションであるLINEの普及も踏まえ,小中学校における情報モラル教育の拡充の必要性についても述べたい.
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© 2015 一般社団法人 電子情報通信学会
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