バイオフィリア リハビリテーション研究
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バイオフィリアリハビリテーション学会(2002年)
バイオフィリア リハビリテーション学会生まれる。
滝沢 茂男
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2017 年 2017 巻 1 号 p. 28-30

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抄録

 2000年度テクノエイド協会助成「高齢下肢骨折患者のADL向上と自立のための調査研究」(主任研究員・日本医科大学医療管理学教室教授木村哲彦・本学会会長)の研究や、2001年の中小企業総合事業団平成13年度課題対応新技術研究調査事業に係る委託業務「創動運動用上肢訓練器兼用リフト機器開発に関する研究調査」などの研究を重ね、21世紀リハビリテーション研究会(21リハ研」が、バイオフィリアリハビリテーション学会に生まれ変わりました。「高齢障害者が、障害を受けた身体機能を改善し、又インペアメント(解剖学的機能損傷)を克服し、寝たきりになることなく自立生活を送る為の新たなリハビリテーション(以下リハ)手法を研究する。理由を探り、原理を究め、そして普及する。特定者の実施でなく一定の教育を受けたものが実施できるようにする。自立獲得による社会経済への影響(社会保障関連経費単年度3兆円削減の可能性)を探る。」が目的です。

 バイオフィリアは語源がラテン語であり、辞書では種族保存能と記載するものもあります。我々が用いているバイオフィリアは米国哲学者エーリッヒ フロムの希望の革命序文がその出典です。「私達多くの中になおも存在する生命への愛(Biophilia)、生命を脅かす危険を十分に認識した時に初めて、この潜在力を動員して変化をもたらす行動に移る事ができる。」に拠っています。これまで前身の21リハ研は、タキザワ式リハプログラム(Takizawa Method)に従った創動運動によって、対象とした寝たきり老人の30%が何らかの歩行を再獲得した事実を、医学的な事実として確認するため、研究を重ねてきました。

 日本人の優しさは、脳血管障害や骨折から介護を必要すると、施設への入所を可とし、他者の介護に依存することを是としてきました。

 賦課方式の年金制度は、ねずみ講のようです。新たな加入者が増えれば増えるほど、元の加入者は得をしていきます。団塊世代は増え、支える世代でした。公的年金が現制度を維持していけば、新規加入者・子孫が少子化現象により減少し、年老いた団塊世代すなわち受け取る者が増えて破綻します。そして、被介護者の増加、高齢化による医療費の増加(社会保障関係費2025年予測207兆円/216兆円昨年度全国民間給与総額)は、団塊世代を直撃し、これまでのように日本人の優しさの中に安住することができなくなります。

 だからこそ、私たちは、「障害者になったときにこそ、自分が人間として生き続けたいと願う心・意志」が大切と考えます。それを表象している言葉「バイオフィリア」を名称にしました。

 このように生まれたバイオフィリア リハビリテーション学会の2002年度活動を紹介します。

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© 2017 バイオフィリア リハビリテーション学会
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