バイオフィリア リハビリテーション研究
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21世紀リハビリテーション研究会(1998年-2000年)
ライフステージの確立を目指して
-機器開発から明らかになった問題点-
滝沢 茂男
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2017 年 2017 巻 1 号 p. 23-27

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抄録

 歩行補助機器の開発方法・用途開発を述べる。これまでNEDO支援による開発に対する報告は多数にのぼっている。これらは、新たな考えに基づいて製品を開発する新規な物品の開発について、また利用した場合の安全性、利用者からの使い勝手などに関する開発報告であった。昔、ヘンリーフォードが、それまで貴族等特権階級の趣味の領域であった自動車を、庶民の移動手段、貨物の運搬手段とし、人類の生活の質を改善・向上したのは方法開発又は用途開発の一例である。

 歩行器は今日までリハビリの現場で、ある意味ではリハビリの役に立たないと言われてきた。敷居等の段差が特異的な日本住宅においては外国における利用と比較して、在宅利用も有効とは言えなかった。病院現場などからは、退院後、歩行器は在宅では物置、物干しになっているとの声もあった。歩行器には幾種かあり、4点式の物と歩行車が代表的であるが前者は自由に歩行できず、後者は大きくて狭いところでは使えず、又滑りすぎて、転倒し骨折を引き起こす等の問題点があった。さらに、これまで室内で利用できる大きさの歩行器で段差を越えるものはなく、的確に段差を乗り越えることが出来る歩行器はなかった。さらにリハビリの現場での利用に関しても、理学療法に関する教科書ですら積極的利用の推薦は少なかった。

 我々は歩行器利用による自立生活確立への提案を継続してきた。開発は器具開発ばかりではなく、利用により居宅内での移動能力を獲得し自立するライフスタイルの変更、すなわちライフステージの拡大や、これまで生活の区切りとされた歩行様態の表現変更提案を含む用途・方法開発である。言い換えれば社会改革を視野に入れた開発計画である。すなわち100キロメートル300キロメートルの距離移動を可能にしたフォードの自動車による社会改革に比する、家庭内で1メートル10メートルの移動の自由を可能にしたことにより、トイレの自立を果たし、自分で日常生活が確保できるようにする社会改革を目指した開発である。この開発に伴い明らかになった問題点と、生活改革の可能性、それによる社会負担の想定を述べる。

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© 2017 バイオフィリア リハビリテーション学会
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