バイオフィリア リハビリテーション研究
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バイオフィリアリハビリテーション学会(2002年)
バイオフィリア リハビリテーションの可能性
滝沢 茂男
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2017 年 2017 巻 1 号 p. 31-35

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抄録

 自殺者が4年連続3万人を超えた理由の一つに生活不安からの鬱病が挙げられています。雇用・年金・医療保険への不安は「年を取ると良いことは無い」との思いをいだかせているのでしょう。「高齢になり、障害を得ても自立でき、体は少し不自由でも、IT(情報技術)で社会貢献を続けられ、豊かな生活が出来る」と個々が認識することが、人々の不安を取り除く力になります。また人間として尊厳を持って生き抜こうとする意欲の源にもなります。

 私達はこれまでの研究を踏まえ、「高齢までの生存を許された人類・日本国民に対し、タキザワ式プログラム(高齢障害者に対する座位姿勢による創動運動実施プログラム)に従った創動運動(器具を用い、障害を得た者自身による健側肢の運動により、患側肢を擬似他動運動する。)と、在宅ケア(在宅看護・在宅介護・食事指導)からなるバイオフィリア リハビリテーションの研究、及びバイオフィリアに表象される「障害者になったときにこそ、自分が人間として生き続けたいと願う心・意志」を持つ者が、バイオフィリア リハビリテーションの普及により、高齢障害者であっても尊厳を確立でき、介護依存から自立へ向かうことができる社会を実現し、同時に高齢を許された人類の健康寿命を延伸し、国民生活の安定と人類の福祉向上に寄与することを目的とする。」と定款に目的を定めました。

 現在では高齢になって障害を持った者は、家族を含め地域社会において、正当な構成員と認められない感があります。施設入所・入院需要の多さは、障害を持った高齢障害者に対するこうした考え方の現れと考えます。私達は研究や普及を通じて、個人にとっては脳血管障害や大腿骨頸部骨折受傷後も自立生活を送れるまで、日常生活動作の改善が可能と考えています。そして「個人は自立獲得し、社会は障害者をその構成員として受けいれる」社会の構築を実現したいと考えています。

 私は、「国民がその特性であるやさしさを持ち続ける、しかしそれに依存しない。Aging Crisesを目前にして、福沢先生が半開社会を恐れた江戸時代以来の日本文化の一面から脱却し、自立した国民の形成する文明社会へ転換し得る機会となる。我々の研究が、高齢者の増加を負の要因としない、新たな文明社会の確立を可能とする」と確信しています。高齢者の増加を負の要因としない、新たな文明社会の確立のため、本稿読者のご意見をお待ちし、期待しています。我々の研究は事実の確認のみならず原因の解明にも及んでいますが、解明には更なる研究が必要です。私達は一人一人集まって、このたびNPOを組織しました。自分と家族の自立のため、さらには普及に向けた実践者と解明に向けた研究者のNPOへのご参加を歓迎します。

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© 2017 バイオフィリア リハビリテーション学会
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