バイオフィリア リハビリテーション研究
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21世紀リハビリテーション研究会(1998年-2000年)
新たな生活文化の確立を期して - 4 輪ソリ付き歩行器 -
 - 4 輪ソリ付き歩行器 -
滝沢 茂男
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2017 年 2017 巻 1 号 p. 9-12

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抄録

 「四つ足で、二本足で、三本足で歩くものは何か。人間である。」このスフインクスの問いは広く流布されている。人は必ず年を取り、加齢によって歩行障害を持つ人は多い。こうした人が杖なしで生活するのは困難である。スフインクスの問いは、杖をつき三本足で歩くという発想が、永く人類の生活文化として定着していることを表している。これまでの歩行器は、在宅では利用しにくく、在宅での使用は普及していない。 必要なときにいつでも利用できる器具を利用せず、介護者の支援も得られず、徐々に骨折に起因する寝たきり老人が増えていくことになる。

 病院では、リハビリテーション訓練(以後リハビリ)により、立位、歩行できても、退院後の自宅療養に於いて、訓練の継続が出来ない事や、自立歩行の介助がないことから転倒をおそれて歩行せず、ADLレベルを低下させ、そのまま寝たきりになることが多い。寝たきり老人の内骨折による者は平均20%を越えている。しかし、多くの高齢者の歩行を守り、在宅に於ける日常生活の自立をすすめる可能性があり、4輪型ソリ付き歩行器(以後本歩行器)開発が、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成の下、東大、慶應、北里、聖マリアンナ、東海、横浜市大、など、多くの大学病院、施設による治験として結実し、実証されている。

 治験対象のうち、4例の大腿骨頚部骨折患者と2例の両側の変形性股関節症患者についても、ADLレベルの低下は認められなかった。治験の結果 では利用者全員にADLレベルの低下は見られなかったが、仮に半数の利用者によい影響を与え、歩行が自立したと仮定した場合、地方財政を含め我が国の財政に対し、1993年で単年度4千2百億円(前出18万人の半分×468万円)の歳出削減効果があると推定できる。当会は、ソリ付き歩行器を歩行補助器具として、室内で利用することにより、多くの高齢者が寝たきりの不安のない、豊かで充実した長寿生活を実現できるよう、さらに治験事例を増やす努力をすると共に、普及に努める。

 ギリシャ神話の昔以来つづく、人類の生活文化に係わる常識を打破したい。平成のスフインクスが、「四つ足で、二本足で、三本足で、6本足で歩くものは何か」と問い、「それは人間である」が答えになる、「平成の神話」を築くべきであり、築いていきたい。介護保険導入の結果、歩行再獲得の経済的合理性がなくなり、介護保険導入後販売実績はないと聞く。介護保険の見直しが考慮されていると聞く。6本足で生活するという新しいライフスタイル、こうした「新たな生活文化の確立」が、少子高齢化に伴い、老後の不安を強く持つ、多くの国民が、安心して年を加え、豊かにゆったりと生活が出来る社会をもたらすと確信している。

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© 2017 バイオフィリア リハビリテーション学会
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