バイオフィリア リハビリテーション研究
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21世紀リハビリテーション研究会(1998年-2000年)
障害がある四肢の創動運動のための器具開発
滝沢 茂男
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2017 年 2017 巻 1 号 p. 13-17

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抄録

 これまで、脳血管障害後遺症の片麻痺や下肢骨折等による下肢障害者は、理学療法士による他動運動で身体状況の改善を図ってきた。しかし理学療法士の人的資源に限りがあり、その結果として拘縮を残し、歩行困難で寝たきりになる事が多い。我々はこの状況を変えるため研究を進めている。2000年3月米国ロスアンジェルスのCSUN学会で統合されたシステム構築に向けた器具開発を世界に発信した。これまでの臨床結果報告を中心とした研究発表のみならず、その効果を生みだした概念を明確にするために行った。

 開発器具を利用した創動運動とタキザワ式リハビリテーション(以後リハ)はインペアメントレベル(解剖学的機能損傷)からの改善を実現した。リハビリエイド(現バイオフィリア研究所)有限会社はクッション、上肢機能訓練器、下肢機能訓練器、軟下肢装具/補装具、新四輪型ソリ付き歩行器を開発した。このように高い有効性を持つリハを可能にする機器開発について述べた。個別の器具に関する発表を基礎に、器具群を統合し、運用するという視点から考察したことにより、開発器具群がシステムを構築する要素であり、新たな概念に基づいたリハを実現する根幹を成すこと、タキザワ式リハが新たな概念に基づいたリハであることを明確にした。

 障害のある一方の四肢を、器具を利用し患者自身が残存している機能すなわち他の機能の残っている健側の四肢の誘導により、自分の力で他動運動させる事を創動運動(Motivative exercise)と命名した。高齢下肢障害者のための創動運動実施プログラムであるタキザワプログラムによるリハを進める上でのポイントは、患者に無理をさせず、訓練時の体調や能力に合わせた訓練、又訓練室において、器具を利用し、マットを用いることなく、座位又は立位で訓練を行う事である。ポイントと、実施状況について報告した。報告した器具及びリハの普及と、この課題の解決により、2025年の日本で要介護老人520万人の内230万人が寝たきりと予測されているが、寝たきりの30%69万人に日常生活自立の可能性がある。寝たきりにならない人数はさらに多数になる。21リハ研は、障害があっても高齢者が自立する事こそ、21世紀高齢社会が希望に満ちた社会になりうる唯一の方法であるので、それを実現する努力を進める。

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© 2017 バイオフィリア リハビリテーション学会
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