抄録
筆者は2010 年頃から岩手県久慈市産の琥珀中に保存されているコケ植物化石の研究に取り組み,これまでに2 新種を発見した.いずれも中生代白亜紀後期(約9000 万年前)の恐竜時代の森に生育していた絶滅種と考えられている.琥珀中のコケの研究に加えて,2022 年には栃木県那須塩原市の地層から産出する木の葉石(このはいし)の研究に取り組
み,新生代第四紀(約30 万年前)に生育していた数種のコケ植物を報告した.その後,研究を進めていく中で,古生物学分野の研究においてコケ植物の化石として報告されながらその実体や所属が不明であるものが多数あることが判明した.