武道学研究
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原著
柔道「投の形」における評価の類似性と観点に関する研究
金持 拓身慶瀬 伸良中村 充前川 直也田村 昌大菅波 盛雄
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2010 年 43 巻 1 号 p. 1_1-1_7

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抄録

本研究の目的は,柔道「投の形」における評価者聞の類似性と観点を明らかにすることである。本研究の意義は「投の形」の評価基準設定の一助になるものと考えられよう。
調査対象者として,審査経験を有する 22名の有段者を評価者とした。評価者は,2組 (A組,B組)の「投の形」の演技を VTR にて視聴し,それぞれの施技に対して 13項目を評価するものとした。評価項目は,全日本柔道「形」競技大会の審査姿項にある「評価の基準と観点」の中から選んだ。対象技として,手技,腰技,足技,真捨身技,横捨身技の中から 1 技を無作為に選んだ。分析にあたっては,回収したデータの基本統計量を算出し,相関分析,数量化 IV 類による分析などを行い,その特性を検討した。
その結果,A 組,B 組の評価を比較すると明らかに A 組に高い評価が示された。また,全ての技の評価において,評価者の評価に高い類似性が認められた。「投の形」の評価基準は未だ確立されていないものの,本研究の結果では評価にはかなりの共通認識に立脚していることが示唆された。
評価者が重視する 3項目と総合評価との聞には,高い相関が示された。各評価者は,それぞれ重視している観点を持ち,総合的な評価はこれら 3項目程度の観点を参考に評価が行われている可能性が示された。

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© 2010 日本武道学会
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