2019 年 19 巻 4 号 p. 198-201
久留米大学医療センターにおける2015年度の転倒・転落のうち、患者側の要因が絡むものは78.7%であった。患者・家族と看護師がリスクと予防策を共有する必要があると考え、患者参加型予防策の導入に取り組んだ。
患者参加型予防策として、患者や家族が記入した転びやすさチェック表をもとに危険度を評価し、患者参加型説明用紙と転倒・転落予防リーフレットを用いてリスクと予防策を共有した。15歳以上の新入院患者のうち、患者参加型予防策を導入した2016年10月から3ヶ月の511人を介入群、前年度同時期の539人をコントロール群とした。分析の結果、年齢、性別、危険度に有意差はなかった。転倒・転落発生率は、コントロール群4.9%、介入群5.7%で有意差を認めなかった。転倒・転落発生率の低下には繋がらなかったが、患者特性を考慮した介入方法の検討など、長期的な評価を行う必要がある。