2002 年 53 巻 11-12 号 p. 775-793
1994年,著者の一人岡本は広島大学を退官するにあたり,在職中に収集・研究した中国および九州地方(一部北陸地方を含む)の新生代貝類化石標本を,旧地質調査所の地質標本館に寄贈した.これらの貝類化石標本には,新種創設の基準となったタイプ標本(例えば,Acesta (Plicacesta) watanabei Nakano and Okamotoのホロタイプ)や現在ではほとんど採取不可能となってしまった産地の保存良好な標本(例えば,島根県邇摩郡仁摩町の川合層産標本)が含まれており,本邦の新生代貝類化石研究の上で非常に貴重な標本である.今回,地質標本館に寄贈された標本の整理と登録が終了したので,それらの標本のリストと,産地図および一部の標本の図版を添えて研究資料として公表する.