抄録
熊本県中央部の東陽-泉地域に分布する黒瀬川帯から保存良好な後期ジュラ紀を示す放散虫化石が産出した.泥岩を主体とする上部ジュラ系池原層において採取された2試料(GSJ R76489およびGSJ R76490)からはそれぞれ330種および329 種の放散虫種が識別された.それぞれの試料中の放散虫群集は非常に類似しており,松岡 (1995a)の年代論に基づけば,本放散虫群集はOxfordianの年代を示す.本試料からの放散虫群集は,多量のSpumellariaを含む点で,同時代の付加体中の放散虫群集と異なる.これは池原層の堆積場が付加体とは異なる可能性を示しており,池原層はtrench slopeの環境下で堆積した可能性が示唆される.