2003 年 54 巻 1-2 号 p. 15-27
珪藻化石データの定量的解析と,底生有孔虫および貝類化石を補助的に用いて,栃木県東部の烏山地域に分布する中新統荒川層群上部(大金層上部,田野倉層および入江野層)の堆積深度変化を復元した.荒川層群上部では,下位より堆積深度が外部浅海帯→上部漸深海帯→中部漸深海帯→上部漸深海帯→外部浅海帯と変化し,1つの堆積サイクルをなす.最も深くなった中部漸深海帯では,一次的にさらに深度が深くなる層準が,3層準挟まれており,このうち,田野倉層最下部にあるものが最も深度が深く,荒川層群上部のサイクル全体の最大海氾濫面である.