黄河源流域には凍土地帯と非凍土地帯があり,凍土地帯は季節凍土の卓越する地域と中緯度高山帯永久凍土地域に分けられる.永久凍土地域の開発あるいは保全は,その地域の生態系バランスを左右するが,凍土を後退させる最も直接的な要因は気温の上昇である.1950年代以降,黄河源流域では明らかに気温の上昇傾向が認められ,過去20年間で10年当たり0.28℃上昇の割合となっている.その結果,凍土地帯の縁辺で凍土が縮小し,地下水位の低下と河川流量の減少を招いている.凍土の変化は地下水環境に影響するばかりでなく,草原の変化,野ネズミの異常発生,黄河流量の変化に関連している.