地質調査研究報告
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論文
北海道当別町太美地区で掘削された沖積層ボーリングコア(GS-HTF-1)の層序学的及び堆積学的解析
川上 源太郎嵯峨山 積仁科 健二中島 礼廣瀬 亘大津 直木村 克己
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2012 年 63 巻 1-2 号 p. 21-34

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抄録

 北海道当別町太美で掘削した沖積層ボーリングコアGS-HTF-1 は,堆積相,産出する珪藻並びに貝化石,14C 年代から,下位より礫質河川堆積物(ユニット2),蛇行河川の堆積物(ユニット3),内湾~湾口砂体~デルタフロントの堆積物(ユニット4),塩水湿地及び河川堆積物(デルタプレーン堆積物)(ユニット5)に区分される.各ユニットにおける堆積物物性・粒度組成は層相と対応する.また堆積物懸濁液の pH・ECの値は解釈された堆積環境と相関しており,ユニット4 では他ユニットと比べて値がやや高く,堆積場における海水の寄与を反映する.ただし,内湾泥層(ユニット4-a)の pH,EC は河川層と同程度の低い値を示した.13試料の 14C 年代から作成した堆積曲線によると,礫質河川から蛇行河川環境への転換は 12,000cal BP 頃,河川から内湾環境への転換は9,000 cal BP 頃である.また縄文海進最盛期の 8,000cal BP 頃に湾口砂体が湾奥に急速に前進し,高頂期の 8,000 ~ 7,000cal BP 頃には海側へ後退的に累重した.7,000cal BP にはデルタフロントが到達し,湾口砂体を覆った.

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© 2012 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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