2013 年 64 巻 3-4 号 p. 85-112
西南日本福井県中央部に位置する南条山地の主要域には,玄武岩・石灰岩・チャート・泥岩・砂岩などの多様な岩石から構成される堆積岩複合岩体が分布する.南条山地におけるこれらの岩石のうち27地点のチャートについて,含有される放散虫化石の検討を行った.その結果,今庄地域では10地点14試料からSpumellaria目ならびにEntactinaria目が卓越する三畳紀群集とNassellaria目が卓越するジュラ紀群集が産出した.本報告ではこれらの放散虫化石群集を記載するとともに,その種構成に基づき今庄地域に分布するチャートの地質時代は前期三畳紀 (Olenekian?) 〜中期ジュラ紀 (Bajocian) に至ると結論した.