地質調査研究報告
Online ISSN : 2186-490X
Print ISSN : 1346-4272
ISSN-L : 1346-4272
論文
GSJ におけるエアロゾル中放射性核種の2013 年観測と再飛散に関する検討
金井 豊
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 65 巻 11-12 号 p. 145-155

詳細
抄録

物質循環のトレーサーとしての地球科学的知見を得ると同時に,福島第一原子力発電所事故後の地域住民の不安感の払拭にも貢献するため,産業技術総合研究所地質調査総合センター(GSJ)においてエアロゾル中の放射性核種の観測を2013年も継続して行った.前報告(本誌,vol.63(3/4) p.107-118,及びvol.64(5/6), p.139-150)に引き続き2013年1月から2013年12月までの観測データを報告する.放射性Cs同位体のエアロゾル濃度は,2013年は3月頃に幾分高まったが,4月以降は幾分低下傾向を示した.2012年も同様に4月頃より低下しており,北よりの風から南よりの風に変わり降雨の日が多くなった気象条件の変化が変動因子の一つと考えられた.2012年以降は原発からの影響よりも観測点周辺に沈積した粒子の再飛散と移動による影響因子が相対的に重要と考えられ,Cs-137濃度とCs-137/Pb-210比との関係が再飛散を示唆する有効なパラメータの一つとなる可能性があると考えられた.

著者関連情報
© 2014 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
前の記事
feedback
Top