地質調査研究報告
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御嶽火山2014 年9 月27 日噴火で発生した火砕流
山元 孝広
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2014 年 65 巻 9-10 号 p. 117-127

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抄録

国土交通省多治見砂防国道事務所の滝越カメラに記録された御嶽火山2014年9月27日の水蒸気噴火による火砕流は,以下の特徴を持つ.1) 火砕流は,噴火開始時の11時52分頃に山頂南の地獄谷の上部斜面と山頂の西斜面の2箇所からほぼ同時に発生した.2) 火砕流発生時の噴煙高度は低く,300 mを大きく超えることはなかった.3)谷沿いを流れ下る火砕流先端部の速度は8 ~20 m/sで,地獄谷沿いには火口から約2 km流下した.4) 斜面を流れ下った火砕流からは顕著な二次噴煙が上昇したが,このことは火砕流がある程度の熱量を持つ流れであったことを示唆しており,灰雲が大気と混合して浮力を得たものと理解できる.5) しかし,火砕流が通過した領域では樹木の損傷や火災,炭化は認められず,火砕流自体は樹木を焦がすほどの温度ではなかったと推定される.エナジーコーンモデルによる火砕流到達域の数値計算では,噴煙柱崩壊高度を200 mとして,見かけの動摩擦係数が 0.45 ~0.55とすると到達域との一致が良い.

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© 2014 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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