2016 年 67 巻 4 号 p. 101-110
北海道の然別地域に産する蛍光を呈する2つのオパール標本について,色調の異なる層状部分の化学分析を行った.化学元素と蛍光色の間に明確な関係は見い出せなかったが,化学組成についての特徴を明らかにすることができた.すなわち,不純物としてLi,Be,Ga,As,Rb,Csなどが数100 ppm,Sbが数1,000 ppmの濃度で存在していた.また,一つの試料中の異なる蛍光色を呈する部位にもかかわらず,Na,K,Li,Rb,Csのアルカリ元素やCa,Sr,Baのアルカリ土類元素は,あまり大きな濃度変動を示さなかった.蛍光現象の解明のためには,研究対象を有機化合物などに拡大した研究が必要である.