2019 年 70 巻 3 号 p. 299-314
柏木ユニットは北部秩父帯付加コンプレックスの中で最も若いユニットである.本研究では,関東山地における柏木ユニットの砂岩及び珪長質な凝灰質千枚岩のジルコンU–Pb年代測定を行い,それらの堆積年代を決定した.その結果,砂岩2試料から128.2±1.4 Maと126.7±2.0 Maの年代が,凝灰質千枚岩から134.2±1.5 Maの年代がそれぞれ得られた.従来,中期ジュラ紀から前期白亜紀までの幅広い年代が頁岩や珪質頁岩中の放散虫化石から報告されていた.しかし,砂岩から得られた年代は,柏木ユニットの頁岩及び珪質頁岩から報告されていた放散虫化石年代より若い,前期白亜紀のバレミアン期以降となることが明らかになった.