東京湾の湾岸部を含む東京低地南部における5,767本のボーリング柱状図から,沖積層の基底深度を読み取り,クリキング法による空間補間を行うことで,沖積層の基盤地形を復元した.東京低地南部では,現在の荒川に沿って,古東京川開析谷が南北方向に縦断しており,その両岸には海洋酸素同位体ステージ(MIS) 5aとMIS 3,最終氷期最盛期(LGM)の前半に形成されたと考えられる3段の埋没段丘が分布する.古東京川開析谷の左岸と右岸の埋没段丘は,それぞれ行徳開析谷と古神田川開析谷によって開析される.行徳開析谷と古神田川開析谷の基底には沖積層基底礫層(BG)が認められず,礫による被覆効果が無かったために,LGMにかけた海水準低下に伴った河川の下刻による起伏地形が顕在化したと考えられる.