2018 年 10 巻 1 号 p. 1_61-1_70
目 的
本研究は,諸外国とは異なる医療制度や看護師役割の特徴がある日本の訪問看護師が捉える医師との連携に着眼する。国内文献から訪問看護師と医師との連携の実践と課題を明らかにすること,得られた結果をもとに日本の訪問看護師と医師との円滑な連携の示唆を得ることを目的とする。
方 法
医学中央雑誌から検索し25文献を選定した。訪問看護師の医師との連携の実践と課題の質的データを抽出しコードとした。類似のコードをまとめ抽象度をあげサブカテゴリーとした。さらに抽象度をあげ,カテゴリー,コアカテゴリーとした。
結 果
連携の実践では,【医師への報告】,【医師との交渉】,【医師への相談】,【医師への確認】,【医師とのコミュニケーション】の5コアカテゴリー,17カテゴリーが抽出された。連携の課題では,『医師や医療機関との連絡』,『医師の在宅医療への関心』,『医師の知識・技術』,『医師との関係性』の4コアカテゴリー,16カテゴリーが抽出された。
考 察
訪問看護師は【医師への報告】をするが,『医師や医療機関との連絡』において課題があった。その要因は,日本の医療制度がフリーアクセス制であること,医師と専任で連携する専門職がいないこと,看護師の裁量権の範囲が関連していると考えられた。また,『医師との関係性』には,日本の看護教育の歴史と日本文化が関連していると考えられ,看護師は医師に従う,医師に判断を委ねるという行動を暗黙のうちに了解し文化としてきたと考えられた。