抄録
交通社会が抱える様々な課題への対応の一つとして,小型モビリティや自動運転などに代表される新しい乗り物やそれを用いたサービスがある.これらの社会実装の意義やそこに向けた課題を明確化する目的で,第一線で取り組まれているプレイヤにアンケート・インタビューを行った.その結果,小型モビリティには様々な期待とアプローチがされているものの,既存の小型モビリティを積極的に選択するような絶対的な価値が明確化されているとは言えず,数あるモビリティの選択肢の中から選択され難い状況にあることが分かった.また,小型モビリティの形状は見慣れず目立つため,乗車時に周りからの視線が気になるというユーザの声もつかめた.自動運転との組み合わせについても期待はあるが,様々な理由で時期尚早との見方があった.これらの乗り物・サービスの普及促進には,社会的な価値を考慮することが必要と考えられる.