文化看護学会誌
Online ISSN : 2433-4308
Print ISSN : 1883-8774
総説
在宅高齢者のHOMEの意味に関する文献レビュー
拝田 一真正木 治恵
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2022 年 14 巻 1 号 p. 1_48-1_56

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抄録

地域包括ケアが推進されるなか,高齢者の多くは身体機能が悪化しても様々な理由から自宅での療養を望んでおり,在宅高齢者のその人らしい生活を支えるために自宅での療養を希望する意味への包括的な理解が看護には求められる。そして,複合的な概念である“HOME”は高齢者が自宅での療養を望む理由を包括的に説明し得ると考えられたため,本研究は在宅高齢者のHOMEの意味に関する質的知見を収集,統合することを目的としている。
選出された計14文献をデータ源としてテーマ分析を行った。その結果,71個のコードが抽出され,16個のサブテーマを経て【HOMEが支える自分らしさ】,【HOMEが支える健康】,【HOMEが創る社会的繋がり】,【HOMEが持つ機能性】,【HOMEで実感する役割】,【HOMEで維持する自立・自律】,【HOMEにある自分にとって特別な雰囲気】,【HOMEにおける往古来今に伴う変化】,【在宅ケアによるHOMEへの影響】の9つのテーマに統合された。
本研究結果の特徴は自身にとって好ましくない様々な変化を経験してもその変化を受容し,一貫して自分らしく生活できるように尽力しているという在宅高齢者の強さを示した点にある。そして,様々な健康問題を抱える高齢者のその人らしい生活を支えるためには,自宅での療養を希望する意味を“HOMEの意味”から包括的に捉えた上で高齢者と協働するケアが重要であると考えられる。

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© 2022 文化看護学会
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