背景と目的
ICUに入室した終末期患者は意思決定能力に不確かさが生じやすく,家族が代理で意思決定を行うことも少なくない。医療従事者がアドバンス・ケア・プランニングに患者を関与させることはほとんどなく,ICUにおける終末期患者の意思決定支援のニーズは十分に検討されていない。本研究は,患者の自己決定権が法整備されている台湾のICUにおける,終末期患者の意思決定の現状を文献にて把握し,意思決定を支える看護実践の特徴を明らかにすることを目的とした。
方 法
台湾の“中文電子期刊服務”および“期刊文獻資訊網”のデータベースを用い,2021年5月に検索を行った。キーワードを「加護病房」AND「決策」AND「末期」として検索し,文献の選別は,選定基準と除外基準に沿って行った。意思決定を支える看護実践に関する内容を抽出し,内容の類似性によりカテゴリーに統合した。
結 果
最終的に13件の文献が選ばれた。1)患者の最善を中心とした考え,2)意思決定能力を有する終末期患者の自己決定の擁護,3)家族との面会調整による感情の共有と安定,4)代理意思決定者となった家族にかかわる態度,5)家族の状況に応じた情報提供の仕組みづくり,6)家族会議における多職種との連携,7)医療職間における安寧緩和ケアの概念の共有という7つのカテゴリーが導かれた。
結 論
意思決定の際に患者の最善の利益を重視した治療に関する選択肢を提案し,安寧緩和ケアの概念を共有できるような仕組みを構築することが重要であると示唆された。
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