放送研究と調査
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相手選手に点を“あげて”しまってもよいのか
~2019年「日本語のゆれに関する調査」から~
滝島 雅子山下 洋子塩田 雄大
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2019 年 69 巻 11 号 p. 54-72

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抄録

2019年3月に行った「日本語のゆれに関する調査」について報告する。▶第1章では、「やる」のかわりに「あげる」を使う用法について取り上げる。「植木に水をあげる」「子どもにお小遣いをあげる」「ペットの犬にえさをあげる」に関しては、「おかしくない・使う」という人が7割を超え、誤用とは言えない状況になっている。▶第2章では、気象情報で使うことばについて調査報告を行う。気温の言い方を「〇ド〇ブ」と言うか、「〇テン〇ド」と言うかを聞いたところ、「○テン○ド」を選んだ人のほうが多いという結果となった。また、「0度より低い気温」を言う場合、「氷点下」と「マイナス」のどちらを使うかを聞いたところ、「マイナス」が多い結果となったが、放送で使うことばとしては、自分で言う場合に比べ「氷点下」が多かった。▶第3章の外国語・日本語をめぐる意識については、日本人の大多数は、「(一部の人を対象にした教育ではなく)日本人全体への英語教育」、「(外国人向けの日本語教育よりも)日本人自身の外国語運用能力を高める教育の重視」を望ましいものととらえており、「(英会話には)まったく自信がない」、「小学校での英語教育には賛成」、「日本語を話す外国人が多くなった」と思っていることが明らかになった。外来語が増えることに対しては、「日本語をあいまいにすることにつながる」という意見が5割程度、「日本語を豊かにすることにつながる」という考えが4割程度になった。若い年代ほど英語(および外来語)への親和性が高く、高年層ではその反対に日本語をより重視するような傾向が見て取れる。

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© 2019 NHK放送文化研究所
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