放送研究と調査
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日本人の宗教的意識や行動はどう変わったか
ISSP国際比較調査「宗教」・日本の結果から
小林 利行
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2019 年 69 巻 4 号 p. 52-72

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抄録

本リポートでは、NHK放送文化研究所が国際比較調査グループ(ISSP)の一員として、2018年10月から11月にかけて実施した「宗教」に関する調査の日本の結果について、過去の調査結果との時系列比較を中心に報告する。結果を簡単にまとめると以下のようになる。①信仰している宗教の割合は変わらないものの、信仰心は薄くなり、神仏を拝む頻度は低くなっている。②日本人の伝統的な価値観だと捉えられてきた“お天道様がみている”“人知を超えた力の存在”“自然に宿る神”といった感覚を持つ人は少なくなっている。③宗教に「癒し」などの役割を期待する人は減少している。宗教に危険性を感じる人は、感じない人よりも多い。④各宗教徒別では、「イスラム教徒」への否定感が他の宗教徒に比べて高い。日本ではこれまで、宗教について深く考えたことのなかった人も多いと思われる。しかし、改正出入国管理法の施行(2019年4月)によって、外国人材の受け入れが進む中で事情が変わる可能性がある。異なる宗教観を持った人達との付き合いが増えれば、今まで以上に「日本人と宗教」について考えなければならないケースが出てくるかもしれない。

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© 2019 NHK放送文化研究所
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