放送研究と調査
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SNSを情報ツールとして使う若者たち
「情報とメディア利用」世論調査の結果から②
渡辺 洋子
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2019 年 69 巻 5 号 p. 38-56

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抄録

2018年6月に実施した「情報とメディア利用」調査の報告の第2弾として、SNSに焦点をあて、利用の現状、若年層におけるSNSとテレビの位置づけ、ニュース接触との関係を報告する。主にTwitter、Instagram、Facebook、LINEについてみると、20代以下ではTwitterの利用が多く、コミュニケーション目的というより情報収集のツールとして使っていた。20代以下では、日常的な利用においてLINEやTwitterを毎日のように利用する人がテレビを上回り、またメディアの評価では関心のないことに気づいたり多様な意見を知ったりする点で、SNSとテレビが同程度だった。情報を入手するメディアとして、若年層ではSNSがテレビと同等かそれ以上の存在感を持つようになったといえる。政治・経済・社会の動きを伝えるニュースを見聞きする際には、20代以下でもテレビを利用する人がもっとも多く7割を超えるが、LINE NEWSやSNSから流れてくる記事も4割以上が利用していた。20代以下やLINE NEWSをニュースメディアとして最も使う人では、ニュースに受動的に接する人が多かった。さらにLINE NEWSを最も使う人はフェイクニュースの認知も低かった。SNSを含めたインターネット系メディアでは、利用者の関心に沿ったコンテンツに効率的に接することができるが、それらの情報がすべて信用できるものとは限らない。こうした状況下で、急速に普及するSNSをよりよく使うためには、利用者のリテラシーを高めるとともに新たな情報流通の仕組みが求められるだろう。

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© 2019 NHK放送文化研究所
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