放送研究と調査
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69 巻, 5 号
放送研究と調査
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 第10回「日本人の意識」調査から
    荒牧 央
    2019 年 69 巻 5 号 p. 2-37
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    NHKは1973年から5年ごとに「日本人の意識」調査を行い、同じ質問・同じ方法で調査を繰り返すことによって、社会や経済、政治、生活など、人びとの幅広い意識を長期的に追跡している。その最新の調査結果から、結婚観、婚前交渉、女性の職業、女の子の教育など、家庭・男女関係についての結果を紹介する。家庭・男女関係は、「日本人の意識」調査の中で最も変化の大きい領域である。その変化の特徴として以下のようなことがあげられる。①全体として、男女の平等や個人の自由を認める方向へ意識が変化している。②増えるものは増え続け、減るものは減り続けるというように、同じ方向に変化している項目が多い。③世代交代によって変化している質問もあれば、時代の影響を大きく受けている質問もある。家庭・男女関係についての考え方は45年間で大きく変わったが、2000年頃からは変化が小さくなった質問も見られる。
  • 「情報とメディア利用」世論調査の結果から②
    渡辺 洋子
    2019 年 69 巻 5 号 p. 38-56
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2018年6月に実施した「情報とメディア利用」調査の報告の第2弾として、SNSに焦点をあて、利用の現状、若年層におけるSNSとテレビの位置づけ、ニュース接触との関係を報告する。主にTwitter、Instagram、Facebook、LINEについてみると、20代以下ではTwitterの利用が多く、コミュニケーション目的というより情報収集のツールとして使っていた。20代以下では、日常的な利用においてLINEやTwitterを毎日のように利用する人がテレビを上回り、またメディアの評価では関心のないことに気づいたり多様な意見を知ったりする点で、SNSとテレビが同程度だった。情報を入手するメディアとして、若年層ではSNSがテレビと同等かそれ以上の存在感を持つようになったといえる。政治・経済・社会の動きを伝えるニュースを見聞きする際には、20代以下でもテレビを利用する人がもっとも多く7割を超えるが、LINE NEWSやSNSから流れてくる記事も4割以上が利用していた。20代以下やLINE NEWSをニュースメディアとして最も使う人では、ニュースに受動的に接する人が多かった。さらにLINE NEWSを最も使う人はフェイクニュースの認知も低かった。SNSを含めたインターネット系メディアでは、利用者の関心に沿ったコンテンツに効率的に接することができるが、それらの情報がすべて信用できるものとは限らない。こうした状況下で、急速に普及するSNSをよりよく使うためには、利用者のリテラシーを高めるとともに新たな情報流通の仕組みが求められるだろう。
  • そのオンライン・サービス構想の展開と課題
    伊吹 淳
    2019 年 69 巻 5 号 p. 58-87
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    現在世界的にメディア消費のモバイル化が進み、またGAFAなどのグローバルIT企業によるAI、ソーシャル・ビッグデータ解析等の次世代基幹技術のメディア市場への導入が、メディア環境と人々のコミュニケーション形式を劇的に転換させている。そうした中、世界的に公共放送の「放送」と「オンライン・サービス」のシェアが低下し続けており、特に若年層で加速している。こうした事態は公共放送の基本的な公共サービスの履行を困難にしている。一方EU各国の公共放送はこうした変化に対応するため、10数年前から「公共サービスメディアPublic Service Mediaへの転換を試み、公共サービスへの新たなテクノロジーの導入を進めてきた。しかし現在欧州PSMは、GAFA等のグローバルな市場支配、技術的独占などの影響によって、新たな技術的イノベーション、サービス開発の停滞を余儀なくされており、欧州放送連合(EBU)などはこうした状況に対し、強い危機感を表明している。本稿では現在のNHKの「公共メディア」化の先行例である欧州PSMが、現在直面する課題とそれらへの対応戦略、イノベーション構想を、「EBU:戦略目標2017」などの資料を基に確認し、その上で欧州PSMのイノベーション構想に内在する「可能性」と「限界」について検証する。最後にPSMのイノベーションの未来像について、若干の考察を試みる。
  • 萩原 潤治
    2019 年 69 巻 5 号 p. 88-95
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    NHKの全国電話世論調査は、2016年12月から「固定・携帯RDD」を採用している。一方で、地域を限定した調査では、携帯電話の番号は地域の判別ができないため、依然として、固定電話のみ(以下、「固定RDD」)で調査をせざるを得ない。しかし、近年の「固定RDD」のサンプル構成比をみると、住民基本台帳の構成比からの乖離が大きくなっており、この手法が曲がり角に近づいていることがうかがえる。このため、文研は2018年10月に神戸市などを対象にした世論調査を行うにあたり、「固定RDD」の代わりに郵送法を採用し、電話調査のメリットである機動性に近づけるべく、可能なかぎり実査期間の短縮を試みた。この結果から得られた主な知見は、以下のとおりである。・通常よりも督促回数を減らし、実査期間を約半分に短縮しても、高い有効率を維持することができた ・最初の締め切り日を早めたことにより、回収のスピードを上げることができ、実査期間の前半で高い有効率を積み上げることができた ・サンプル構成比は、「固定RDD」と比べると、住民基本台帳の構成比からの乖離の幅が小さくなり、高年層への偏りは大きく改善した。以上のことから、地域を限定した調査では、迅速な結果の公表が求められる調査でないかぎりは、「固定RDD」から切り替えたほうが調査の精度が向上すると考えられる。
  • 吉田 功
    2019 年 69 巻 5 号 p. 96-97
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
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