放送研究と調査
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令和元年台風19号における住民の防災情報認知と避難行動調査報告③
福島県本宮市といわき市の洪水被害
入江 さやか
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2020 年 70 巻 10 号 p. 34-54

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抄録
「令和元年台風19号(東日本台風)」は,2019年10月12日に伊豆半島に上陸し,東日本を中心に記録的な豪雨をもたらした。NHK放送文化研究所では,台風19号で被害を受けた福島県本宮(もとみや)市・いわき市で,浸水したと推定される地域の住民を対象に,郵送法による世論調査を実施した。 本宮市では、回答者の7割が、市が全世帯に配布している「防災ラジオ」などを通じて、「避難勧告」を認知していた。しかし、自宅を離れて「立ち退き避難」をした人は23%で、68%が自宅にとどまっていた。過去の水害経験などを通じて、回答者の半数近く(47%)が、自宅が浸水する可能性があると思っていたと回答した。一方で、1986年の「『8・5水害』ほどではない」と思って避難をしなかった人もおり、過去の災害経験が避難を抑制する方向にも働いていた。 いわき市は、回答者の8割以上が「避難勧告」を認知していた。ただ、自宅を離れて「立ち退き避難」をした人は29%だった。立ち退き避難をせず自宅にとどまった人からは「自宅のある場所は浸水しないと思っていた(58%)、「夏(なつ)井(い)川が氾濫するとは思わなかった」(39%)などの回答が多くみられた。 今回の調査では、テレビが高齢者の情報取得の「ライフライン」であることも再確認できた。「画面の文字をもっと大きく」「文字をもっと長く画面に残して」「アラームを鳴らして」など、具体的な要望もあり、放送メディアは、こうした声も受け止めていく必要があるだろう。
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© 2020 NHK放送文化研究所
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