放送研究と調査
Online ISSN : 2433-5622
Print ISSN : 0288-0008
ISSN-L : 0288-0008
70 巻, 10 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • リアリティーショーの現在地
    村上 圭子
    2020 年 70 巻 10 号 p. 2-33
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2020年5月、フジテレビ系列で放送されていたリアリティーショー『テラスハウス』に出演中の22歳の女性プロレスラーの木村花さんが亡くなった。SNS上で番組内容をきっかけとした誹謗中傷を受け、自ら命を絶ったとみられている。 そもそもリアリティーショーとは、定義もスタイルも曖昧な番組群である。おおよその共通項からまとめると、「制作者が設けた架空のシチュエーションに、一般人や無名のタレント等を出演させ、彼らの感情や行動の変化をひき起こす仕掛けを用意し、その様子を観察する番組」といった所か。欧米を中心にここ20年で増え、最近は有料動画配信サービスでも提供されている。 しかし、リアリティーショーは誕生当初から、出演者の心を"虚実皮膜"の状態に長時間置くストレス、出演者に葛藤を与えるような仕掛けをする"社会実験"的な側面、視聴者が出演者の様子を"のぞき見"する倫理的課題が指摘され、欧米では多くの出演者の自殺が報告される等社会問題となっていた。近年はSNSの普及で、出演者はより誹謗中傷を受けやすい環境に置かれ、対応の必要性が叫ばれていた。 花さんの死のような痛ましい問題が繰り返されないため、メディア研究の分野では何を考えていくべきか。本稿は1回目として、そもそもリアリティーショーとはどんな番組を指し、なぜここまで発展してきたのか、これまで指摘されてきた課題はどのようなものだったのかを考察する。
  • 福島県本宮市といわき市の洪水被害
    入江 さやか
    2020 年 70 巻 10 号 p. 34-54
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
    「令和元年台風19号(東日本台風)」は,2019年10月12日に伊豆半島に上陸し,東日本を中心に記録的な豪雨をもたらした。NHK放送文化研究所では,台風19号で被害を受けた福島県本宮(もとみや)市・いわき市で,浸水したと推定される地域の住民を対象に,郵送法による世論調査を実施した。 本宮市では、回答者の7割が、市が全世帯に配布している「防災ラジオ」などを通じて、「避難勧告」を認知していた。しかし、自宅を離れて「立ち退き避難」をした人は23%で、68%が自宅にとどまっていた。過去の水害経験などを通じて、回答者の半数近く(47%)が、自宅が浸水する可能性があると思っていたと回答した。一方で、1986年の「『8・5水害』ほどではない」と思って避難をしなかった人もおり、過去の災害経験が避難を抑制する方向にも働いていた。 いわき市は、回答者の8割以上が「避難勧告」を認知していた。ただ、自宅を離れて「立ち退き避難」をした人は29%だった。立ち退き避難をせず自宅にとどまった人からは「自宅のある場所は浸水しないと思っていた(58%)、「夏(なつ)井(い)川が氾濫するとは思わなかった」(39%)などの回答が多くみられた。 今回の調査では、テレビが高齢者の情報取得の「ライフライン」であることも再確認できた。「画面の文字をもっと大きく」「文字をもっと長く画面に残して」「アラームを鳴らして」など、具体的な要望もあり、放送メディアは、こうした声も受け止めていく必要があるだろう。
  • 豪公共放送への家宅捜索から浮かび上がった論点
    佐々木 英基
    2020 年 70 巻 10 号 p. 56-69
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2019年6月、オーストラリアの公共放送ABC(Australian Broadcasting Corporation,オーストラリア放送協会)に対し、連邦警察が家宅捜索をおこなった。発端は「オーストラリア軍によるアフガニスタン市民殺害」報道。連邦警察は、ABCが軍の機密文書を入手・公表したことを問題視した。この捜索に対し、メディア各社は、国民の"知る権利"を脅かす行為として強く反発した。 これを受け、連邦議会は"知る権利"と"国家安全保障"のバランスが適正に保たれているかを調査する委員会を設け、メディアや政府機関に対し、見解を求めた。 本稿では、調査委員会に提出された文書などから、機密保護関連法を巡る過去の経緯を整理、主要な論点を抽出した。その結果、同国の機密保護関連法は近年、追加・修正が繰り返され、報道に対する厳しさが増してきたこと、そのことを法律の専門家が問題視し、是正を勧告していたことが示された。 一方、政府は、同盟国からの信頼を得るため等の理由から、機密保護は厳密に行われるべきであり、法の厳格化は当然と考えていることがわかった。 また、こうした機密保護関連法の厳格化は世界的な広がりを見せているという専門家もいる。その専門家からは、民主主義諸国においても"知る権利"が将来、より抑制される可能性があることが示唆された。
  • 吉川 邦夫, 高橋 浩一郎
    2020 年 70 巻 10 号 p. 70-73
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
feedback
Top