放送研究と調査
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コロナ禍はテレビと動画の利用者にどんな影響を与えたか
「コロナ時代のテレビの価値」調査の結果から
保髙 隆之阿曽田 悦子
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2021 年 71 巻 10 号 p. 2-33

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抄録

新型コロナウイルス感染症の拡大が、生活者のテレビとインターネット動画の視聴にどのような影響を与えたか、背景にある意識とともに探る。NHK放送文化研究所が2020年11月に実施した世論調査「コロナ時代のテレビの価値」の結果では、若年層だけでなく40代でも、コロナ禍で動画利用時間が増加した人(以下、動画増加者)が、テレビの視聴時間が増加した人(以下、テレビ増加者)を上回った。テレビ増加者と動画増加者の意識を比較すると、テレビ増加者では感染に不安を抱く人やテレビに親近感を感じている人が多かった。一方の動画増加者では、番組を毎回決まった時間に見るのは面倒だと感じる人や、メディア報道に懐疑的な人が多かった。  また、動画利用者のメディア利用について、コンテンツのジャンルと生活場面別に詳しくみると、ジャンルでは「趣味・実用」を「動画のみ」で視聴する人の割合が高く、関連で実施したウェブ調査の参考データでは、地上波では見られない多様な内容を視聴していた。生活場面では、テレビが食事どきに視聴を増やすのに対し、動画は夜間のプライベートな時間に視聴が集中した。ウェブ調査の結果からは、夕食中にテレビ画面で動画を家族視聴する人がいるなど、今後、伝統的なテレビと動画の視聴スタイルが変わっていく可能性もうかがえる。

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© 2021 NHK放送文化研究所
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