放送研究と調査
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『テラスハウス』ショック②
制作者と出演者の関係性を考える
村上 圭子
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2021 年 71 巻 10 号 p. 34-56

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抄録
本稿はフジテレビ系列で放送され、有料動画配信サービスNETFLIXでも配信されているリアリティ番組『テラスハウス』に出演中だった22歳の女性プロレスラーの木村花さんが亡くなったことをきっかけに開始した調査・研究の2回目の報告である。 まず、2021年3月にBPOの放送人権委員会の決定が公表されたことを受け、『テラスハウス』問題そのものを主軸に扱っていく。まず、委員会の決定文から問題の経緯を振り返る。その上で、制作側と出演者との関係性には何等かの構造的な問題があったのではないかという筆者なりの視点を提示する。 次に、リアリティ番組に代表される、一般の視聴者に近い“素人”が継続的に出演したり、その出演者がSNSで積極的に発信したりすることを前提とする番組を制作し、放送・配信する場合、制作側にどのような姿勢と対応が求められるのかについて考える。具体的には、花さんの死を受けてフジが進めている対策と、リアリティ番組先進国イギリスで進む国の規制の2点から考察する。 最後に、誰もがSNSやネット配信で発信できるようになった時代において、番組制作のプロフェッショナルである放送局は、信頼を得続けていくためにはどのような姿勢で出演者に向き合うべきか、そして、発信や自己表現を求める若者達に対して何を提供していけるのか、今後に向けて考えていきたい。
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© 2021 NHK放送文化研究所
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