放送研究と調査
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【NHK 文研フォーラム 2021】アーカイブ活用に向けた調査研究 再放送の可能性を探る(後編)
未来志向の戦略をどう立てるか
大髙 崇
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2021 年 71 巻 7 号 p. 82-103

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抄録

再放送に対する視聴者への意識調査(WEBアンケート,グループインタビュー)の結果を詳述する2回シリーズの後編。第1章は前編の振り返り。第2章では,番組ジャンル別に再放送番組に望まれる「要素」と「パターン(作り)」を分析。特に女性40代では多くの要素を求め再放送番組への思い入れが強いこと,男性やインターネットでも番組を見る層では高画質化などへのニーズが高いことなどが抽出された。第3章「NHKの再放送番組に対するニーズ」では,「名作・人気作」「丁寧な取材と正確な情報」「重厚感やスケールの大きさ」などへの要望が高く,いわゆる本格派の番組が歓迎される傾向がみられた。第4章「NHKアーカイブスへの期待感」では,男性が「自身が10~20代の頃の番組」を見たいと感じていること,また,NHKの過去番組を見る媒体として「テレビでの再放送」と「インターネットでの無料配信」が拮抗する一方,若年層でのアーカイブへの関心の薄さが目立った。第6章は文研フォーラム2021でのシンポジウムの採録。BSテレビ東京編成部の真船佳奈氏は過去番組を「漬物」にたとえ、再放送では「食べやすいように『タルタルソース』にすべき」と唱えた。城西国際大学の滝浪佑紀氏は「再放送は豊かなアーカイブへの『入り口』」,秋田公立美術大学の石山友美氏は「アーカイブの『新たな当事者』を増やすことでそのアーカイブが強いものになる」など,過去番組活用への強い期待感を表明した。

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© 2021 NHK放送文化研究所
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