放送研究と調査
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これからの“放送”はどこに向かうのか?Vol.11
総務省・在り方検の1年の議論を検証する〈2022年9月~ 2023年9月〉
村上 圭子
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2023 年 73 巻 11 号 p. 2-39

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抄録
2023年9月6日、総務省の有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(在り方検)」が、約1年の議論を踏まえた取りまとめ案を公表した。外資系のプラットフォーム事業者が市場支配力を増す中、NHKの役割の強化や、放送メディア同士の連携の必要性が強く意識された内容となっている。それ以外にも論点は多岐にわたっており、取りまとめ案は838ページに及ぶものとなっている。 本稿では、2023年9月までの約1年にわたる在り方検の議論と、取りまとめ案の内容を俯瞰した。放送の未来像を考える上で筆者が重要だと思った内容を下記の5点の論点として整理した。1.事業運営モデルのアップデート、2.プラットフォーム関連施策、3.放送ネットワークの今後、4.コンテンツ制作の促進、5.メディアの信頼性確保、である。 デジタル時代においては、ユーザーもテクノロジーもビジネスもサービスも放送からネットへと大きくシフトしている。しかし、放送法を前提とする日本では、放送と通信の垣根は依然として高い。ここに、「デジタル時代の放送制度」を検討する在り方検の困難さがあると筆者は感じている。しかし、放送を取り巻く変化は激しくなる一方である。本質に向き合い、未来を見すえるためにどういう議論が必要か、筆者なりの考えも示した。 本稿ではもう一つ、NHKのネット活用業務の必須業務化を巡る議論と取りまとめ案の内容についても詳しく検証した。今回の案で示された方向性は、デジタル情報空間におけるNHKの役割の強化という観点から見るとどう位置づけられるのか、また、視聴者・国民にとってはどのような意味を持つのかを考えていく。
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© 2023 NHK放送文化研究所
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