放送研究と調査
Online ISSN : 2433-5622
Print ISSN : 0288-0008
ISSN-L : 0288-0008
73 巻, 11 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 総務省・在り方検の1年の議論を検証する〈2022年9月~ 2023年9月〉
    村上 圭子
    2023 年 73 巻 11 号 p. 2-39
    発行日: 2023/11/01
    公開日: 2023/11/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2023年9月6日、総務省の有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(在り方検)」が、約1年の議論を踏まえた取りまとめ案を公表した。外資系のプラットフォーム事業者が市場支配力を増す中、NHKの役割の強化や、放送メディア同士の連携の必要性が強く意識された内容となっている。それ以外にも論点は多岐にわたっており、取りまとめ案は838ページに及ぶものとなっている。 本稿では、2023年9月までの約1年にわたる在り方検の議論と、取りまとめ案の内容を俯瞰した。放送の未来像を考える上で筆者が重要だと思った内容を下記の5点の論点として整理した。1.事業運営モデルのアップデート、2.プラットフォーム関連施策、3.放送ネットワークの今後、4.コンテンツ制作の促進、5.メディアの信頼性確保、である。 デジタル時代においては、ユーザーもテクノロジーもビジネスもサービスも放送からネットへと大きくシフトしている。しかし、放送法を前提とする日本では、放送と通信の垣根は依然として高い。ここに、「デジタル時代の放送制度」を検討する在り方検の困難さがあると筆者は感じている。しかし、放送を取り巻く変化は激しくなる一方である。本質に向き合い、未来を見すえるためにどういう議論が必要か、筆者なりの考えも示した。 本稿ではもう一つ、NHKのネット活用業務の必須業務化を巡る議論と取りまとめ案の内容についても詳しく検証した。今回の案で示された方向性は、デジタル情報空間におけるNHKの役割の強化という観点から見るとどう位置づけられるのか、また、視聴者・国民にとってはどのような意味を持つのかを考えていく。
  • ロイター・デジタルニュースリポート2023から
    税所 玲子
    2023 年 73 巻 11 号 p. 40-61
    発行日: 2023/11/01
    公開日: 2023/11/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は,イギリスのオックスフォード大学にあるロイタージャーナリズム研究所が行う国際比較調査『デジタルニュースリポート』についてのシリーズの第2回である。第1回では,さまざまなプラットフォームが出現し、「断片化」が起き、そのプラットフォームで誤情報・偽情報が流れることや,アルゴリズムによって情報が取捨選択されていることに不安を抱えながらも,ユーザーが利用を増加させている様子を説明した。 本稿では,こうしたメディア環境の変化が,人々のニュースに対する「信頼」や「関心」にどのような影響を与えているのかを見たうえで,ニュースを遮断したり避けたりする「ニュース回避」について分析する。世界には,「ニュースへの信頼」が低下し,ニュースを意図的に避ける「ニュース回避」が上昇する国があるが,日本ではこの2項目についてこうした傾向は見られない。一方,日本は,「ニュースへの関心」の低下が続き,ニュースにまったく触れない層も増え,2023年は世界で最も高い水準となった。さらに日本では,オンラインでニュースについてシェアしたり議論したりする「参加」が世界で最も低く,政治に対する議論の少なさも際立っていた。日本はニュースに対し受け身で,関心が薄らいでいるように見え,今後のジャーナリズムのあり方を考えるうえで考慮すべき要素だろう。また,公共放送について支持すると考える人の割合が少なく,特に社会的な役割に対する認識がほかの国と比べて低いのが特徴的だった。
  • 「中学生・高校生の生活と意識調査2022」から③
    村田 ひろ子
    2023 年 73 巻 11 号 p. 62-76
    発行日: 2023/11/01
    公開日: 2023/11/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    NHKが2022年夏に実施した「中学生・高校生の生活と意識調査」の3回目となる今回の報告では、中高生と父母の学校や勉強をめぐる意識に焦点を当てる。 学校が「楽しい」と回答した中高生は約9割で、担任の先生とも良好な関係を築いている生徒が多い。父母の学校や先生に対する評価も高く、「教育者として熱心な先生が多い」と答えたのは、父親が約3割、母親が約5割で、過去最多となっている。 他方、生活水準が低いという世帯の親では、先生や授業内容について把握しておらず、学校への関心が薄い傾向がみられる。中高生自身についても、将来の生活程度の見通しは、生活水準が低いほど、同様に低くなる傾向があり、家庭環境によって思い描く将来展望が異なっている。 ただ、親が子どもに対して肯定的な見方をしているほど、子どもの学習意欲や将来への期待値は高い傾向があり、保護者の働きかけ次第では、不利な環境を克服できるかもしれない。
  • 戦時中の録音放送原稿
    島田 匠子
    2023 年 73 巻 11 号 p. 78-79
    発行日: 2023/11/01
    公開日: 2023/11/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
feedback
Top