放送研究と調査
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これからの“放送”はどこに向かうのか? Vol.9
「文研ブログ」#426・445・446・447から総務省・公共放送ワーキンググループの議論を中心に 〈2022 年 9月~ 2023 年1月〉
村上 圭子
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2023 年 73 巻 3 号 p. 24-52

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抄録

総務省の「デジタル時代における放送政策の在り方に関する検討会」では、2022年9月に「公共放送ワーキンググループ」が立ち上がり、インターネット時代における公共放送の役割や、現在は“任意業務”として行われているネット活用業務のあり方等について検討が進められている。これまでの4回にわたる議論では、「国民が共有すべき基本的情報を、信頼性をもって、かつアテンション・エコノミーの虜にならない形で提供できるのが公共放送の強み。その便益を、放送を見ない層にどう提供できるか」「このまま制度を変えず放置したままだと、情報空間全体の中で市民の健全な情報アクセスにおいて日本はますます周回遅れになる」といった、NHKのネット展開を促進させていくべきという有識者の意見がある一方で、民放連からは「必須業務化の検討をするならNHKは趣旨や内容を具体的に説明し、丁寧な議論行うべき」、新聞協会からは「ネット業務が必須業務となった場合、公正な競争が阻害され言論の多様性やメディアの多元性が損なわれ、国民や社会に不利益を及ぼしかねない」といった意見があがっている。本稿では、この公共放送ワーキンググループの議論の整理を中心とした4回分の「文研ブログ」を再掲する。うち1回は、修正経営計画公表、前田晃伸会長の任期終了等、NHKを巡る動きが相次いだ2023年1月の動向の整理も含んでいる。ブログで扱った論点は、その後の議論の進捗に応じて内容が変化しているものもあるが、議論のプロセスの記録と理解いただきたい。

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© 2023 NHK放送文化研究所
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