放送研究と調査
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テレビ画面でネット動画を視聴する人は「テレビ」をどのように見ているのか
「メディア利用の生活時間調査 2021」から
平田 明裕
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2023 年 73 巻 3 号 p. 12-23

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抄録

本稿では、2021年に実施した「メディア利用の生活時間調査」のテレビ画面で動画を視聴する人(全体の6%)に焦点をあて、テレビ画面の利用実態や動画の視聴状況を分析し、今後、コネクテッドテレビが普及しテレビ画面の動画を視聴する人が広がると、テレビ画面の利用が変わるのかどうかについて考察する。テレビ画面での動画視聴者がテレビ画面で「動画」を視聴する時間量は1時間47分で、「リアルタイム」(1時間39分)と同じくらいであった。1日の推移をみてみると、朝の時間帯は「リアルタイム」が圧倒的に多い一方で、夜間の遅い時間にかけて「動画」が増えていくなど、テレビ画面での動画視聴者は時間帯によってテレビ画面で何を見るかを変えている様子がみられた。また、テレビ画面での動画視聴は、「ながら」視聴も「専念」視聴も同じくらいであった。動画を見ながらしている行動は「食事」「SNS(スマホ)」「身のまわりの用事」などで、リアルタイムと同じような「ながら」視聴が行われていて、これまでのリアルタイムテレビに近い見方で動画を視聴するようになっている様子もうかがえた。こうしたテレビ画面での動画視聴者の特徴であるテレビ画面の使い方は、今後、コネクテッドテレビが普及しテレビ画面での動画視聴者が増えていくと、広がっていくのではないかと考えられる。

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