抄録
世界各地が猛暑に見舞われた2023年は、地球の平均気温が産業革命前に比べ1.45℃上回ったと、WMO=世界気象機関は公表した。気温上昇を1.5℃までに抑えようという国際合意「パリ協定」の目標を、あとわずかで超えてしまうことになる。
異常気象による被害や影響は、食料問題や感染症など、あらゆる分野に及び、このままでは、地球の気候システムが再び元に戻らなくなる限界点(ティッピング・ポイント)を越えてしまうのではないかと懸念する声もある。
こうした深刻な気候危機に対して、マスメディアと市民が連携しながら、さまざまな社会問題の解決策を模索する“課題解決型の報道”=「ソリューション・ジャーナリズム(solutions journalism)」を適用し、人類共通の脅威である気候変動への有効な対策を探る動きが広がりつつある。マスメディアが新聞・雑誌・放送といった媒体の種類の垣根を越えて連携し、さらに市民、NGO、企業、研究者などと協働しながら、今すぐ可能な気候変動対策は何か、どのような対策が持続的な効果をあげられるのか、といった情報を共有するパートナーシップを築こうとしている。
本稿では、そうした気候変動対策をめぐるマスメディアの取材者や、メディア間連携を促す役割を担う国際機関、NGOの最新の動きを捉え、そこに込められた思いや意義を伝える。当事者たちの抱く危機意識は、かつてないほどに強まっている。