放送研究と調査
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【放送100年】 ラジオ講座テキストから見た放送史①
戦前の教育・教養番組とテキスト
村上 聖一
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2025 年 75 巻 1-2 号 p. 2-16

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抄録
ラジオ番組の講座テキストの刊行は、放送開始と同じ1925年に始まった。NHK放送文化研究所では、研究での活用に向けて、戦前のラジオ講座テキストなどをデジタル化する取り組みを進めていることから、それにあわせて、本誌では3回シリーズで、テキストとともに戦前の教育・教養番組について振り返ることにした。
ラジオ講座のテキストの発行は、語学講座向けの教材や講演番組の書き起こしから始まった。当初は放送局どうしを結ぶ中継網がなかったことから、大阪や名古屋など各放送局で教育・教養番組の制作が行われ、テキストも各地で刊行されるなど形態は多様なものだった。1931年に第2放送が東京で始まり、日本放送出版協会が設立されると、次第にテキストの発行は出版協会へと集約されていったが、東京以外での発行も続き、各地で企画された趣味・教養講座などにあわせて多様なテキストが発行された。
テキストの普及拡大は1930年代後半にかけて進んだが、太平洋戦争開戦とともに第2放送が休止されると、語学講座も中止され、テキストは、国民学校放送や戦時体制の維持に関連したものなどに制限された。語学講座をはじめとするテキストが復活したのは、太平洋戦争終結後のことだった。
シリーズ1回目の今回は、戦前のラジオ講座テキストの概要とその歴史を振り返る。そのうえで、第2回、第3回でジャンル別にテキストを分析するとともに、戦前の教育・教養番組の実態について見ていく。
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© 2025 NHK放送文化研究所
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