放送研究と調査
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【新史料で振り返る放送100年(3)】好評を博した戦前のラジオ修養講座番組
『聖典講義』を例にその背景を探る
広川 裕
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2026 年 76 巻 5 号 p. 50-67

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抄録
新史料で振り返る放送100年。その第3回は、戦前に好評を博したラジオ修養講座番組の中から1934年に放送された『聖典講義』を中心に分析を行った。

『聖典講義』は、宗教の経典や先人の教えなどを題材にして精神面の向上を目指した内容で、日曜を除く毎朝、定期的に放送される初めての修養番組であった。さらに、テキストや関連書籍が増刷を重ねるなど、大きな反響を呼んだ。

本稿では、さまざまな史料を手がかりに『聖典講義』の内容を精査し、仏教を中心に儒教、キリスト教などの経典を題材とし、数日から十数日かけて、わかりやすく解説する番組であるという特徴があることがわかった。当時、なぜ『聖典講義』が人気を博したかについて検討していくと、その背景に、巧みな話術を持った出演者の存在や放送当時の社会状況、放送と出版のメディアミックスといった背景があったことが浮かび上がった。

『聖典講義』は、内容が仏教の経典に偏っているなどという指摘もあって、放送開始後1年もたたないうちに『朝の修養』と改題し、その後、「個人的な修養」から「集団的な修養」へと修養番組の方針は大きく変化していった。ただ、『聖典講義』は短期間で終了した修養番組ながら、当時のラジオを代表する人気番組になっていた点で、戦前の放送について考えるうえで不可欠な番組だったということができる。
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