抄録
2026年3月に開催された第6回のワールドベースボールクラシック(WBC)は、Netflixが日本国内向けに独占配信し、地上波テレビでは中継されなかった。
NHK放送文化研究所では、大会直後にWEB調査を実施し、視聴者が今回の独占配信をどのように受け止めたのかや、大会を機に注目されたスポーツ放送のユニバーサルアクセス権にどのような意見を持っているのかを探った。
独占配信となったWBCについて、熱心なスポーツファンは、インタビューやドキュメントなども含め、大会の全試合を長時間、たっぷりと伝えたNetflixを高く評価した。この点は、テレビのような編成の都合にとらわれることのない配信事業者の強みが発揮されたといえる。若い男性を中心にWBCを視聴するために新たにNetflixと契約した人も少なからずおり、人気スポーツの独占配信で新規会員を獲得するサブスク配信ビジネスとしても一定の成果があったとみるべきだろう。
一方で、WBCをNetflixで視聴できたのはスポーツ視聴者の3割にとどまり、高年層を中心に「テレビ中継がないせいで、見たかったのに見られなかった」と不満を感じた人が多かった。また、Netflixで視聴できた人も含め「テレビ中継がないせいで、大会が盛り上がらなかった」と感じた人も多く、有料会員しか見られない独占配信ゆえの視聴の広がりの限界が浮き彫りになった。
ユニバーサルアクセス権については、スポーツ視聴者の約7割が、日本でも制度化が「必要」と考えている。仮に制度化するのであれば、「国内全体が盛り上がる」「国民が一体感を感じられる」という理由で、オリンピックや野球、サッカーといった人気競技の「日本代表戦」が指定競技に選ばれるべきだと考えている人が多いことがわかった。専門家は、そうした意見の背景に、「代表戦」を好む、日本特有のスポーツ文化があると考察した。