抄録
2025年に実施した「全国メディア意識世論調査」の結果をもとに、人々のメディア利用実態と、信頼など意識面の現状を報告する。
テレビのリアルタイム視聴は若年層を中心に減少傾向が続き、中高年層でも習慣的な視聴が減りつつある一方で、YouTubeなどのインターネット動画は日常的な利用が定着している。ただし、SNSや動画サービスの利用拡大はやや頭打ちの傾向がみられた。一方、効用の面では、テレビは多くの項目で高く評価されているが、その評価は高年層に支えられており、若年層では目的に応じてSNSや動画サービスを使い分けている。また、メディアへの信頼面でみると、NHKや新聞などのマスメディアは全体として「信頼派」の割合が比較的高いが、若年層ではデジタルサービスとの信頼度の差が縮まる。そして、人々がメディアの情報を信頼するうえで重要な要素としては、「内容の正確性」が最も高く、さらに若・中年層やテレビをあまり信頼していない層では、情報源の明確さや編集の透明性、送り手の評価なども重視されていた。
利用や意識、いずれの面からみても、何か1つの強力なデジタルメディアが現れ、テレビに取って代わって頼られているわけではない。社会にあふれる情報やメディアの選択肢の多さを前に、人々はこれまで以上に役割や目的に応じてメディアを使い分けるようになり、テレビや新聞もその選択肢の1つとして位置づけられていることがうかがえる。