植物分類,地理
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朝熊山蛇紋岩地帶の植物群落學的研究
谷口 森俊
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1958 年 17 巻 4 号 p. 122-127

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抄録

筆者は1956年9-12月に亘って朝熊山蛇紋岩地帯の植群を調査した。とくに顕著に認められる群落にアカマツ-カマツカ群落がある。これは低いアカマツを主とした貧弱な疎林で林床はカマツカが優占種である。この群落は表層土の厚さが約 20 cm 以下の地域に典型的に見られる。ただ蛇紋岩露出の特に著しい従って表層土の少ない所ではクロマツ-カマツカ群落になる。併しそれが約 50 cm 以上になると蛇紋岩地帯特有の群落は消失して,別の群落に移行する。全般的に植群は蛇紋岩露出及び表層土の厚さにかなり大きく関係している様に見られた。これは注目すべき點と考える。次ぎに本蛇紋岩地帯に特に多く見られた植物としてカマツカ,コバノトネリコ,コガンピ,ツクバネウツギ,コゴメウツギ,コウヤボウキ等がある。又蛇紋岩地帯の注目すべき植物としてシマジタラソウ,シンジュギク,アサマツゲ等を挙げることができる。御指導を賜った岐阜大學長吉井義次博士をはじめ石部修教授,鈴木時夫博士に深く感謝する。本研究の要旨は日本植物學會中部支部第45回例會(1956年11月)で發表した。

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© 1958 日本植物分類学会
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