分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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ガスクロマトグラフィー/負イオン化学イオン化質量分析法によるクロロフェノール類,ビスフェノールA及び17β-エストラジオールの定量
中村 貞夫滝埜 昌彦代島 茂樹
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2000 年 49 巻 3 号 p. 181-187

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抄録

内分泌撹乱物質と疑われる2,4-ジクロロフェノール,ペンタクロロフェノール,ビスフェノールA及び17β-エストラジオールの4化合物について,ペンタフルオロベンジルブロミド(PFBBr)によりペンタフルオロベンジル(PFB)誘導体とし,メタンを試薬ガスとする負イオン化学イオン化(NICI)法を用いたGC/MSにより微量分析法の検討を行った。試薬ガス流量及びイオン源温度の最適条件を検討し,それぞれ2.5ml/min及び210°Cとした。定量は各化合物の(M-PFB)-イオンを用いる選択イオン検出法(SIM)で行った。混合標準溶液での検出限界は,0.4~12.5pg/mlであり,検量線の直線性は10pg/ml~100ng/mlの範囲で,いずれの化合物も相関係数0.9995以上であった。また,繰り返し再現性(相対標準偏差,n=5)は,各標準品の濃度20,100,1000pg/mlでそれぞれ2.8~9.3,6.2~9.7,2.7~8.6%であった。更に,河川水200mlに2,4-ジクロロフェノール20ng,ペンタクロロフェノール20ng,ビスフェノールA200ng,17β-エストラジオール2ngを添加し,本法で得られた回収率は91.4~103.3%であり,また繰り返し再現性(n=5)は相対標準偏差で5.0~8.3%であり,いずれも良好な結果を示した。また,検出限界を比較したとき,NICI法は電子イオン化法より6.5~150倍高感度であった。以上のことから本法は,河川水中の微量なクロロフェノール類,ビスフェノールA及び17β-エストラジオールを高感度に定量できることが分かった。

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© 2000 The Japan Society for Analytical Chemistry
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