分析化学
Print ISSN : 0525-1931
分析化学総説
食品成分の生体調節機能—複合機能体の分析化学的評価
松井 利郎松本 清
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2000 年 49 巻 7 号 p. 477-491

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抄録

生活習慣病に代表されるように,現代人を蝕む疾病は老若男女を問わず生活習慣の破たんとしてひき起こされる。特に,高血圧症,糖尿病の発症並びに進行は食生活と密接な関係にあることから,第一の治療法として非薬事療法(食生活の改善)が施される。しかし,疾病者のQOLを考慮すると,非薬事療法といえども食事内容の制限が主体となることから,十分な食事療法とは言いにくい。そこで本稿では,1987年藤巻らの提唱した食品の第三の機能(生体調節機能)について,現在までの成果(特に高血圧予防,糖尿病予防を中心に)について概説し,食品機能の顕在化,生理評価法について述べる。すなわち,高血圧予防については,昇圧にかかわる代謝系であるレニン-アンギオテンシン系のin vitro及びin vivo制御法について論述する。また,糖尿病予防については,小腸上皮微絨毛膜に存在し,グルコースの生成,吸収にかかわるα-グルコシダーゼに対する阻害評価法を概説する。更に,近年活発な研究がなされている抗酸化性についてもその評価法を中心に論述する。

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© 2000 The Japan Society for Analytical Chemistry
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