2001 年 50 巻 12 号 p. 775-783
分析システムのマイクロ化は近年, 最も注目を集めている研究課題である. 分析システム全体のマイクロ化を行うことにより, 高性能で迅速な分析を低コストで行うことが可能になるからであるが, この試みは同時に, 深刻化しつつある環境問題に対して, 我々分析化学に携わる者が寄与し得る社会貢献の一つであるとも言うことができる. 本稿では, これまで著者らのグループが取り組んできた分析システムのマイクロ化に関する研究の中で, 特に, ファイバーを用いた試料前処理技術及びそれらの各種マイクロカラム分離技術との結合について, 得られた結果を紹介する. 本稿では更に, ファイバー自体を分離媒体としてカラム充填剤に用いた各種クロマトグラフィー手法についても, 幾つかの例を挙げながら簡単に紹介する.