分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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低pHキャピラリー電気泳動法による海藻中のジメチルスルホニオプロピオン酸塩の定量
張 経華西村 直記安保 充大久保 明山崎 素直
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2001 年 50 巻 12 号 p. 819-824

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抄録

ジメチルスルホニオプロピオン酸塩 (DMSP) は主に海洋中の植物プランクトンや微藻類に含まれ, 硫化ジメチル (DMS) の前駆物質として海洋を中心とする地球規模の硫黄循環に大きくかかわっている. 本研究では, このDMSPの合成・分解系の実態を調べるため, 緑藻1種, 紅藻2種を対象に, 高分離能を持つキャピラリー電気泳動法によるDMSPの分析を行った. その結果, 海藻の抽出液については, 低pHのリン酸ナトリウム泳動液 (pH 3) を用いて短波長 (190nm) でDMSPの分離・検出ができた. 一方, 感度を高めるため, p-ブロモフェナシルブロミドによる誘導体化法を試みた. 最適な条件を検討した結果, エステル化反応緩衝液のpHを4以下とし, 反応温度と反応時間を抑えることでDMSPの分解率を5%以下にすることができた. DMSPエステルを254nmで検出・定量でき, 直接分析法より約2けたの感度上昇が見られた. また, 直接分析法及び誘導体化法により, 実際の海藻試料の分析を行った. 緑藻から高濃度のDMSP (47μmol/g FW), 紅藻から低濃度のDMSP (0.1~1μmol/g FW) を検出した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2001
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